UP SIDE DOWN
けれど、どんなにも待ってもそれ以上の快感が与えられることはなかった。
「おい」
生殺し状態の欲望が苦しくて、立場を忘れて抗議の声を上げれば、
「人に物を頼む態度か、それは」
柿崎は形を変えて震えた啓一自身を眺めながら見下ろしてくる。この男に頭を下げるなど、冗談ではなかった。それに、
「頼んだところで聞くわけないんだろ」
この男がそんな甘い相手ではない事はもう嫌と言うほど思い知らされている。
「分かっているじゃないか」
案の定、柿崎は楽しそうに笑うと啓一の足を大きく開く。膝を折り曲げて自分でも見たこともないその場所を晒す、その意味くらい分かっていた。
ここに男のものを受け入れる、その時自分は一体どうなってしまうのだろう。痛みより、心まで女に作り変えられてしまうことに抵抗を感じて体が勝手に足を閉じてしまっていた。
「なんだ、怖いのか」
「なわけねぇだろ」
この男にだけは弱みを見せたくない、必死の虚勢。すると、
「だったら、足を閉じるな。命令だ」
怖くないなら出来るはずだと柿崎は玩具でも見るような目で啓一のそこだけに視線を注ぐ。
「く」
負けられないと、必死で本能を押さえつけて足を開こうとするけれど心の底からの抵抗にうまく出来ない。
何とかしようと膝を立てて、足の指でベッドのシーツをつかみながらそこを晒した。
「いい眺めだ」
高みの見物を決め込んでいた柿崎が露になった啓一の奥の蕾を指で突く。
「わ・・ぁ」
涙が流れるのはどうしてだろう。うるさいくらいの心臓の音、異常な状況の中で逃げ出したい衝動だけが膨れ上がっていく。
「安心しろ、すぐ善がらせてやる」
「ひ・・・な・ゃ」
ぬるりとそこを流れた冷たい感覚にキュッと胸と分身が縮むのが分かる。
「女用のローションだよ」
「・・れは・・んなじゃ」
違うと言葉で言っても、実際には穴を広げられてなすがまま。
「ゃ・・・だめ」
それは、自分でも驚くくらい高くか細い声だった。
「違」
こんなのは自分ではないとすぐに訂正するけれど、柿崎は黙ったまま機械的にそこに指を差し込んでいく。入口の硬い肉を指で押されて、指先が柔らかな内側の襞を探った。
「ぁや・・・や、・・く・・・るし」
痛みよりも熱い内の中を動く冷たい違和感が気持ち悪い。
「苦しい? イイの間違いだろう」
「ひっ」
前触れもなく増やされた二本目の指、今度は置くまで一気に貫かれた。
「あ・・・あ、あ・・ぅん」
狭い入口の避けるような痛み、けれど熱になじみ始めた指が与えてくる強制的な感覚。
「なんだ? もうお漏らしか」
柿崎の空いている指ば啓一の先端に触れると、滲み出た先走りの液を啓一自身に塗りつける。濡れた場所に空気が当たって、ひんやりと鈍い快感が全身に広がった。
「ぅん・・・ふぁッ・・い・・やあ」
二本の指が交互に啓一の中にあるしこりを刺激して、無理やり液体を搾り出してくる。意思に反してどんどん硬くなっていく自分自身が信じられなくて、あらぬ場所の圧迫感と痛みもどんどん強くなっていって、
「も、・・・ぁ」
訳が分からない。自分自身すら理解できなくてとうとう逃げようと後ずさる身体を、
「無理にでも快感にしろ、身体に覚えさせるんだ」
柿崎が引き戻して今度は三本目の指を差し入れた。
「痛・・・いやッ」
限界まで開かされた、局部。
「ひぃ」
広げられた場所に冷たい空気が入り込んできて体が跳ねる。卑猥な音と共に先ほどのローションが内側にも注ぎ込まれるのが分かった。
「いぁ・・・あ・・ぅ・・はぅ・・ぁん」
どろどろに濡れたそこはもう拒むことも出来ずに柿崎の指を受け入れている。根元まで差し込まれると外にある親指が中心と蕾の間の感じやすい部分に当たってまた先端から滴が溢れる。
「お前のココ、吸い付くようになってきた」
言って柿崎がくいっと中で指を曲げる。
「ぁあああ」
内にある繊細な性感帯を押しつぶされるような行為に、啓一自身の角度が変わる。
「もうすぐ後ろだけで腹打ちだ、偉いじゃないか」
褒める口調は、明らかにこちらを馬鹿にしていた。けれど反論の言葉を思いつくような余裕は啓一にはもうない。
「く・・ぃ・・はぅ・・ち」
違うの一言も言えない代わりに、弱いところを攻め立てられて啓一の中心は解放を求めて震えた。それなのに、
「無駄弾は、使うな。お預けの訓練も必要なのか、お前は?」
冷酷な言葉と共に指が引き抜かれて柿崎がサイドボードから取り出したゴムで根元を縛ろうとする。
「て、め」
そうはさせまいと啓一は必死で足を閉じて抵抗するけれど。
「お前はもう、ただの獲物なんだよ」
言いながら柿崎が耳朶を噛む、それと同時に濡れた指で胸の突起を摘んでもまれてしまえば甘い痺れが全身の力を奪って、
「似合っているぞ」
あっという間に啓一のそこは絶頂の自由を奪われてしまっていた。