STRAY CAT 10
「で、結局お前は何者なんだ。」
目を開けると、開口一番瑛にそう言われた。
「はぁ?」
いや、だから俺はお前の助けた黒猫だって、風呂で言ったよな、お前分かったっていったよな。
俺は信じられなくて瑛を見る。
ベッドが一つしかない所為か瑛の顔はすぐ横にあった。パジャマは着せてくれたのだろう布越しの体温が、心地いい。
けれど当の本人は相変わらずの無表情で淡々と。
「耳が本物なのは分かったが、猫が人間になるわけないだろう。」
って、
「じゃあどうして俺のこと、アントワーヌって。」
何も言わないうちから、猫のときの俺に勝手につけた名前を呼んだくせに。
あんなふざけた、そのくせ意味深な名前を
「黒と赤の色が、似てると思っただけだ。」
って、それ。
アーー、だからなんでこいつはこんな几帳面そうなくせにいい加減なんだ。
「じゃあ、どうして飼ってやるなんていったんだよ。」
俺は、疲労感を感じながら、尋ねてみて、
「三日も一緒にいれば、お前がどんな奴かは分かる。」
言葉を、失う。
それって、つまりトウ様が頼んだとかそういうこと関係なしに、俺自身を見て一緒に住んでもいいって思えるくらい信じてくれたって事で。
どうしよう、
何で俺、喜んでるんだ?
でも、こいつともっと一緒に居たい、その気持ちは本物で。だから
「俺は猫じゃないんだ・・・・似てるけど別種で。」
洗いざらい全部話した、一族の秘密だったけど、こいつなら信じられると思ったから。そして、
「と、言うわけで一緒にいてやる、感謝しろよ。」
言うと。
「じゃあ、感謝の印をやるか。」
ってお前、さっきあんなにやりまくったのにどうしてもう硬いんだよ。
というか、そうだったんだ、こいつと一緒に暮らすって、こういうことも込みな話で。
俺は逃げるように猫に変わった。
一度こつを覚えれば今までに浴びてきた月明かりの蓄積である程度の変化は可能だ。
けれど瑛は、その小さな体を簡単に捉えて、
「今やらせなかったら人間になったときに○○○を○○○して、×××するぞ。」
はい??
そんな、やだ、絶対やだ。仕方ないから俺はすぐに人間に戻って、
「耳と尻尾はつけておけよ。そのほうが面白い。」
言われるままに、耳と尻尾を出す。そりゃあ出した方がなんていうか開放感あるし楽なんだけど、
「ぁ。」
これって、明らかに無駄に弱点増やしてるだけだよな。
あ^、オレの馬鹿。
何でこんなやつに握られるんだよ、そんな弱み。
けど、妙につぼを心得たこいつのテクに、また結局しっかり可愛がられてしまって。
ずっと人間にならなければ脅しも効果がないんだから今逃げ切ればよかったと、気づいたのは、もう一度寝た後の話。
断言するがこいつの鬼畜はトウ様の所為というわけだけではない、絶対。
絶対、生粋のSだ。
そんな奴とこれから二人で暮らしていく・・・。
どうやら俺は、ろくでもない選択をしてしまったらしい。
合掌
∥PreV∥