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半分は興味だった。
金が無い所為で遊ぶ事も出来ない歓楽街を。
フラフラ歩いて、変態エロ親父でもカモろうと思ってた。
「君、良かったらうちのショーに出てみないかい?」
水商売のスカウトは初めてじゃない、それもこういういかにも濃そうな奴。
自慢じゃないけど俺は結構整った顔立ちをしてるし、そう言う意味でホモとかの欲情を誘う体つきらしい。
男を抱きたいなんて気持ち理解も出来ないけど、そうやって鼻の下を伸ばしてる奴らはいい金になるからうまく利用してきた。
でもショーなんて言うのはいくら何でもやばすぎる。いつもなら振り向きもせずに無視るのを間違って相手にしてしまったのは、それが低音で腰に響くあまりの美声だったからだ。
そして振り向いた俺は我が目を疑った。
「僕はこういう者だよ。」
なんでこんな色男がホモ商売なんてやってんだよ。
よく通った鼻梁に秀でた額、切れ長の瞳などはまさに美神。名刺を差し出すスーツ姿の腕は雄の匂いがプンプンするのに気品があって、女相手にホストをやればナンバー1なんてすぐだろう。
ノーマルな俺ですら思わず見とれてしまって、
まずい、まずい。
俺は慌てて警戒する、だってこいついくら美形だっていたいけな青少年を親父に払い下げる奴なんだぞ、油断しちゃダメだ。
しかし振り向いてしまった以上は名刺を受け取らないわけには行かない。
名刺にはこうあった。
「ライブ、ハウス?」
意外な肩書きに俺がそれを口にすると。
「そう、うちは生で即興のショーを見せるそう言うクラブなんだ。」
と、言ってる事はまともだがなんと言ってもここは二丁目、
俺は外見だけならチェリーボーイ。
ショーというのが明らかにアダルト系である事は想像に難くない。
「すいません、俺、」
勇気を持って断ろうとした瞬間。
「100万。」
その言葉に振り返ってしまう、それはのどから手が出る程欲しい金だ。
「何も売春まがいの事をさせようってわけじゃない、ゲームだ。」
「ゲーム?」
聞き返すと手に硬い物を握らされた。
確認してみるとそれは3枚の金貨だ。
「スリーコイン。」
初めて聞く名前に俺は引き込まれる、やばいと思うけど先を聞かない事が出来なかった。
「このコインは願い事だ、舞台の上で俺は君に一つの指示を出す。君がそれをすればコインを一枚失うんだ、そして全てのコインが無くなったらショーは終わり。簡単だろ。」
「とかいって思いっきり無理な事とかさせるんだろ。」
世の中そんなにうまい話があっていい分けない。
「拒否権はある、ただし。拒否する時君はコインを一枚もらわなければならない。それからやり始めて失敗すればコインを二枚貰ってもらう。」
なら、俺の尊厳は守られるって事か。
「でも、コインが溜まりまくったらどうなるだ。」
「コインが無くなるまでは君はゲームをやめる事が許されない、そしてコイン5枚で強制命令、拒否権が無くなる。でも初めは3枚なんだ、うまくいけば君はいとも簡単に大金を手に入れる事が出来る。」
確かにおいしい話だ、ぐらつく心に。
「命令者への誘導尋問も可能だぞ。」
その瞬間、俺はこの男の手を取ってしまっていたのだった。
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